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歴史的総選挙に寄せる、秋水氏の名文三作 ~その壱 『平民の要求』~

 前回の記事で『幸徳秋水的な文章を意識して書いたつもりが、かえって己の文才の無さを暴露してしまった』と書きましたが、この歴史的総選挙に相応しい秋水氏の名文は無いものか、と四万十市立図書館から借りっぱなしになっている『幸徳秋水全集』4、5巻をめくっていたところ、3編ほど見つかったので、今回から3回に分けて、秋水氏の名文と、紅星の拙い訳文を載せさせてもらいます。

 まずは、1903年(明治36年)11月29日の『平民新聞』第三号に載った

『平民の要求』

を。


【引用開始】

平民の要求

 智能ありと雖(いえど)も正直なる者は窮す、労働すと雖も質朴なる者は窮す、不徳の人にあらざるも業を得ること難くして飢餓す、罪悪の行い有るに非ざるも職を失うて流離す、如此くんば社会を組織し国家を形成する所以(ゆえん)の効果安くに在るや、然れども是れ今日の事実なり、何人も争う能わざるの事実なり。

 於是乎(これにおいてか)、その文明の紳士貴女、美衣美食の紳士貴女、皆その優しき声を発して曰(いわ)く、貧民を保護せよ、労働者を救済せよ、慈善事業を奨励せよと、何ぞ彼等の仁愛なる、然れども窮困、飢餓、流離の大事実は、之が為に卒に一毫をも減する無きを如何せん、知らずや、彼等が僅かに数人十数人の飢を救うて揚々得意なるの時に於いて、一面には日々新たに数百、数千、数万の窮困、飢餓、流離を発生しつつあることを、愚なる哉、精衛の海を埋むるよりも甚し。

 多謝す、紳士貴女の仁愛なるを、彼等が仁愛の吹聴広告は大袈裟なり、彼等の失費は多かるべし、彼等が労力は大なるべし、然れども我等多数の平民は決して彼等の仁愛を哀願する者に非ざるなり、彼等の保護、救済、慈善を懇請する者に非ざるなり、乞食を以って目せらるるを希望する者に非ざるなり、我等多数の平民はただ職業を要求す、ただ生活の権利を回復せんことを要求す。

 仁愛なる紳士貴女、彼らにして真に現時の窮困、流離、飢餓の悲痛を除かんとするの同情あらば、何ぞ先ず其の由来する所を究めざる、救済、保護、慈善の奨励に得意ならんよりも、何ぞ先ず救済、保護、慈善の必要なきの社会を作らざる、何ぞ先ず吾人平民をして平等に衣食の権利、生活の権利を得せしめざる。

 千万人の職業なきは、今の紳士貴女が其の職業を独占せるが為に非ずや、千万人の衣食なきは、今の紳士貴女が其の衣食を壟断せるが為に非ずや、汝の黄金、これ社会公共の産するところに非ずや、汝の珠玉、これ平民全体の琢(みが)くところに非ずや、宜しく汝の独占を解け、宜しく汝の壟断を止めよ、しかして之を社会公共の手に帰せ、之を平民全体の有となせ。

 独占を解き、壟断を止む、人はみな技能に応じて職業を有す、職業に応じて労働す、労働の結果たる生産に衣食す、しかして叉徒手にして生活し得る者なく、労働して生活し得ざる者なし、これ実に我が社会主義の主張にして、しかしてこれ実に正義人道の命ずるところ、抑(よく)も亦(また)社会国家を形成組織する所以の唯一目的に非ずや。

 しからばすなわち如何にして、彼等の独占壟断を除去するか、換言すれば如何にして社会主義の理想を実行するを得るか、他なし今の独占者、壟断者たる紳士貴女をして、其の特権を奉還せしむる、なお徳川氏の政権を奉還せるが如くならしめんのみ、平和の手段を以って、極めて平和の、しかも有力なる手段を以って!


【以上、『幸徳秋水全集』第5巻(明治文献)より】

《紅星の拙訳》

平民の要求

 知恵や能力があっても、正直な者は貧乏する。労働しても、律儀な者はやはり貧乏している。日頃正しい行いをしている人も、職に就くことが難しく飢えている。何も悪い事をしていないのに失業して住みかを奪われる。

 このような現状をみると、社会を組織し、国を形づくる、その効果はどこにあるというのか!?

 しかし、これが今の社会の、誰も異論を唱えることのできない事実なのである。

 ここにいたって、世の中の利益を享受し、高価な衣を身にまとい美味い物を食べている紳士淑女は、みな優しい声で
 「貧しい人を保護しろ。労働者を救済しろ。慈善事業を奨励しろ。」
と言う。

 何と彼らの情け深いことか。
 だがしかし、貧困・飢餓・流離の大事実は、これがために一瞬でも、少しも減ることがないのをどうするというのか?
 彼らがわずか数人、数十人の飢えを救って得意満面になっているその一方で、日々新たに数百、数千、数万人の貧困・飢餓・流離が発生しつつあることを知らないのか?
 何と愚かな。精衛の海を填むるよりもひどいことである。

 紳士淑女の情けには、大いに感謝するとしよう。彼らのお情けの吹聴や宣伝は大げさであり、彼らの出費は多いだろうし、彼らの労力も大きいのだろう。
 しかしながら、我ら多数の平民は決して彼らのお情けを哀願してはいないし、彼らの保護・救済・慈善を頼み込んでもいないし、乞食のように見られるのを望んでもいない。
 我ら多数の平民は、ただ職業を要求し、ただ生活の権利を回復せんことを要求しているのだ。

 情け深い紳士淑女たち、彼らに、本当に現在の貧困・流離・飢餓の悲痛を除こうという同情があるならば、なぜまずその原因を究明しようとしないのか?救済・保護・慈善の奨励に得意になるよりも、なぜまず救済・保護・慈善の必要が無い社会を作ろうとしないのか?なぜまず我ら平民に平等に衣食の権利、生活の権利を得させようとしないのか?

 千万人の職業がないのは、今の紳士淑女がその職業を独占しているがためではないのか?
 千万人の衣食がないのは、今の紳士淑女がその衣食を壟断しているがためではないのか?
 あなた方の黄金、それは社会公共が産み出したものではないのか?
 あなた方の宝石、それは平民全体が磨き上げたものではないのか?
 ぜひともあなた方の独占を解け。
 ぜひともあなた方の壟断を止めよ。
 そしてこれを社会公共の手に帰せ。これを平民全体の所有とせよ。

 独占を解き、壟断を止める。人はみな技能に応じて職業を持ち、職業に応じて労働し、労働の結果得られた生産で衣食する。こうして何もせず生活する者はなく、また、労働しているのに生活できない者もない。これ実に我が社会主義の主張であり、そしてこれ実に正義・人道に従うところであり、また、社会国家を形づくるゆえんの、ただ一つの目的ではないか。

 それならばすなわち、いかにして彼らの独占壟断を取り除くか?言い換えるならば、いかにして社会主義の理想を実行するのか?

 他でもない。今の独占者、壟断者である紳士淑女に、その特権を奉還させるのである。
 ちょうど、徳川氏に政権を奉還させたように、平和の手段手段をもって、極めて平和的な、しかも有力なる手段をもって!


 以上、いかがでしたでしょうか?『紅星の下手っぴぃより、自分のほうが良い訳ができるわ!』と言う方がおいでましたら、コメントなどでビシバシ校正お願いします。

したっけ、本日はこれまで
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この記事に対するコメント

時代を超えて訴える言葉です。


 図書館に行ったりしないものだから、紅星さんによる「秋水氏の名文」紹介に感謝です。(訳にも感謝。)
 あと2回も楽しみにしています。

【2009/08/28 23:40】URL | moon #-[ 編集]

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消費税増税反対論者は貧乏人の敵

当ブログは、左派・市民派ブログシーンに於ける、 最もラディカルな護憲派ブログの1つであると自負している。 僕が望む政治は、憲法25条に謳われている、全国民の生存権の担保であり、 それを具現化する政策、全国民全額「教育費医療費はタダ」である。 で、それが BLOG BLUES【2009/08/29 00:09】


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