15日エントリー記事の続き。
60kmコースの中間地点・
四万十楽舎(31.5km地点)を通過したのが前回書いたように13時55分ごろ。
自己ノルマ「14時まで」は何とかクリアしたが、この辺から両腕や舌が痺れ始める。
『ついに来たか・・・』
脱水症状だ。
紅星は人一倍汗っかきで、ちょっと驚いただけでも背中に汗をびっしょりかいてしまうのだ。この日も、今まででは一番涼しく走りやすい日和なのに、何故かいつものマラソンで一番の汗を背中にかいて紙のゼッケンが破れてクリップが取れてしまい、2度もボランティアの人につけ直してもらうほどだった。
もちろんそんな自分の体質は知っているので、スタート地点に向かうバスの車中やスタート前、そして各エイドステーションでもしっかりと水分補給を行った・・・つもりだった。
しかし、
その給水に問題があった。
四万十川ウルトラマラソンでは、水だけの給水ポイントは2.5kmごとに、水・スポーツドリンクやバナナ・飴・塩のあるエイドステーションは5kmごとに設置されている。
何が問題かというと、ドリンクや塩の置いてある場所はエイドステーションの奥のほうなのに、
手前にある水ばかり摂ってしまっていた事。
考えていただければお分かりのように、汗をかいたからといって水を摂ると、体内の浸透圧が低下するので、浸透圧を保とうと余分な水分を尿などとして体外へ排出しようと働く。この時に水だけでなく、塩分やミネラルまで出てしまうのだ。また、体外の排出へもエネルギーが使われてしまう。
つまり疲れを感じやすくなってしまうのだ。
高校生物の授業や大学の講義で何度も学んだはずなのに、その事がすっぽり抜けていた。
結果『ちゃんと給水しているつもりなのに、何でこんなにしんどいんだ!?』という事になった訳だ。
もっとも手足が痺れてしばらくしてから思い出し、水でなくスポーツドリンクを摂るよう切り替えたが、遅きに失した感があった。
走るなかに休みを入れる形で歩いていたのが、いつしか走っているのに歩く人に追い抜かれる始末。もはや左足には期待できないものの、とにかく先へ先へと気持ちだけは逸る。
口屋内→久保川となんとか通過し、
川登(47km地点)にたどり着いたのが16時50分頃。去年より40分以上遅れている。この時点で自己記録更新はムリだなとは感じたが、左足の回復にいちるの望みを託しながら早歩き(本人はそのつもりだったが、多分時速5kmあるかないかだっただろう)で急ぐ。
この川登集落は車が停めやすいという事もあり、応援の人も多い。見知った人も多く、声援や拍手が疲労や痛みを和らげてくれ、少し走りやすくなる。
しかしそれも一時のこと。手足はジンジン痺れ、平衡感覚までだんだん怪しくなってくる。
三里(51km地点)に着いたのが17時30分ごろだっただろうか。もうあたりは随分と暗くなっており、ここで今年も『ホタル』(釣具屋などに売っている発光するやつ)を渡される。
紅星は自宅からここまで走るのを定番コースにしており見知っているはずなのに、暗いとまるで別の風景のようだ。
元気だったらここから1時間もあれば余裕でゴールできるのだけれど、そんなの冗談だろうという感じだった。
佐田チェックポイント(54km地点)通過が18時30分前後。実にポイント足切り15分前だった。
この時には涼しいのを通り越して寒気までし始め、沿道の人に「あの人、あんなにフラフラして大丈夫かねぇ・・・?」と本気で心配されるような状態だった。言われた事は覚えているが、そこから先は完全に真っ暗になり、松明と前のランナーの『ホタル』だけを頼りに、もう反射的に進み、他の事はよう思い出せない状態だった。
いつもなら残り2kmの
百笑(どうめき)に来たら再び気力が甦り走り始められるのだが、今回は残り1kmを切っても走れる状態ではなく、むしろ浅い息をして目の前には時おりTVの砂嵐、ただ力なく、それでも前には進んでいるという感じでゴールへと向かう。
沿道の人の声援ももはや耳を通過してしまうようななか、ゴールの中村高校の門に来た時、不意に、
『あと2分です!急いで!』のアナウンスが耳から脳に突き刺さった。
途端、目の前で4年前の、あの眼前でのタイムアップ・記録なしの風景がフラッシュバックした。
冗談じゃない!60km最後の年をそんな無様に終わらせてたまるか!!と、ようやく気力が甦り、そこから短距離を走るようなダッシュ。
校門前からグラウンドへコーナーを曲がり、ラストの直線へ入ろうかという時に、
「残り1分を切りました!!」 さらにピッチを上げる。
と、左足の中で
蛇がのた打ち回るようなけいれんが起こり、頼みの右足まで『ビクン!』とする。
頼む、あと1分でいいから持ってくれ!と歯を食いしばりつつも、ゴールや横の観客の人の声援や拍手のなかに最後は突っ込むようなかたちで
GOAL!!! 瞬間、頭にあったのは、ただただ
『間に合ったのか・・・』という安堵感だけだった。
こうして、紅星の最後の60kmは幕を閉じた。
今までで一番といえる練習不足、前半での慢心、給水の失敗などいろいろあったが、時間内に完走できた事を今はただ喜びたい。内容は褒められたものではなかったが、区切りの今回、このような経験を積んだ事は自分を見つめなおす上でよかったと思うし、きっと今年の60kmランを生涯忘れないだろう。
さあ、来年はいよいよ100kmにエントリーだ。結果はどうであれ、来年の10月12日の19時30分には悔いなく爽やかな気持ちでいられるように・・・
2007年10月17日、この日から紅星の100kmへの挑戦が始まった。なんてね♪
テーマ : マラソン - ジャンル : スポーツ