週刊平民新聞論説から☆☆創刊号『宣言』、『発刊の序』☆☆

 1903年(明治36年)11月15日、先に『万朝報』が非戦論から主戦論に方針転換をした事に抗議して職を辞していた幸徳秋水と堺利彦は、東京・有楽町に『平民社』を創立し、

『週刊平民新聞』

を発刊しました。

 その創刊第一号に載せられたのが今回紹介します、『宣言』と『発刊の序』です。

(以下は、紅星が勝手に意訳したものです。秋水研究家の諸先輩方や文才ある方からすれば駄文かも知れませんが、一つ笑って許して頂ければ幸いです)


 


『(平民社)宣言』

一、自由・平等・博愛(すべての人を等しく愛する事)は、人がこの世にある上で最も大事なものである。

一、我らは世界すべての人々の自由が保障されるために、平民主義をかかげる。したがって、家柄が高いか低いか、財産が多いか少ないか、男か女かなどの差別から生まれる地位や身分といったものをなくし、一切の国家による圧迫や束縛を取り除くことを求める。

一、我らは世界すべての人々が平等に幸福と利益が受けられるように社会主義を主張する。したがって、生産、分配、交通機関を社会共有のものとし、その運営などはまず社会全体のためにあるべきだと考える。

一、我らは世界すべての人々に博愛の精神を徹底させるために、平和主義を唱える。したがって人種や政治体制の違いを超えて、世界を挙げて軍備を取り除き、戦争を完全に無くする事を期待する。

一、我らは以上のように、世界人類の完全な自由・平等・博愛を理想としている。したがって、これを実現させる手段も、また法律に定められる範囲内で多くの人々の意識を高め、賛同を得るなかでしか行わないと考える。暴力などで目的を一気に達成しようなどというやり方は、我らは決して認めない。


【発刊の序(発刊にあたって)】

 平民新聞は、いつか将来、人類を平民主義、社会主義、平和主義の理想郷に到達させるための機関紙として創刊するものである。編集は我々(幸徳・堺)二人が専門で担当し、庶務は社会主義協会の山根吾一君に任せる事にしている。

 現在の、階級的思想ががっしりと固められて打ち破る事が困難で、資本家勢力が天を凌ぐかのような勢いではびこり、戦争への情熱が世間を熱狂させているような時に、正義や人道、平和を主張し声高に叫ぶ事は、きわめて不利でありまた非常に危険な事でしかない。これ実にかしこい人さえも頭を悩ますところであり、ましてやスカンピンで才能も学もない我々にはなおの事である。案の定、先日この事が原因で万朝報社とあわなくなり職を失い、途端に家計に窮する事になってしまった。世渡りが下手な事で、無駄に世間の才ある人々のあざけりを買っている事は我々も重々承知である。

 しかしそうなってみてかえって想うのである。その正義、人道、平和を主張する事が非常に不利でかつ危険であるというのは、かえってこれらを主張する事がますます急を要している事の証ではないのか。急を要する事を知った以上、志ある者はますます奮い立ってその不利や危険を顧みてはいけない時にあるのではないのか、と。そうだ。我々の一片の憂いはついに我々の沈黙を許さなかった。ことここにいたり、我々は自分から行動すべき、かつ行動しうる最良の方法として、平民新聞の発行という事を選ぶに至ったのだ。ただ、その企画の初めにあって、我々の世渡り下手から、一体どこから手をつけていいやら見当もつかないようになってしまい、途方にくれてしまった。

 幸運にも、我々には熱意ある同志がいた。彼らは我々の考えを我が事としてくれた。我々には義侠心ある親友がいた。彼らは我々の力の無さを憐れみ、財政的な援助や、文筆活動や、あるいはその他の技能をもって、かわるがわる我々の事業を援助してくれ、さらに多くの有益な助言や励ましを寄せてくれた。このようにして、我々が万朝報社を去ってから、奔走わずか三十数日で、ここに平民新聞第一号を発行することができたのである。この事は我々自身にとってはむしろ想定外の事で、我が同志や親友諸君に対して深く感謝するところである。

 したがって平民新聞は、その編集は我々二人に任せられているが、我々は決してその事で我々の私有物とすることはせずに、全国の平民主義・社会主義・平和主義者の共有の機関紙となることを望む。平民新聞の社務は我々が処理するといっても、我々は全国の仲間を皆我が社員としてあつかいたいと思っている。そしてその紙面は常に全国の仲間のために、忠実な代弁者であり、通信者であり、さらにかなうならばその助言者であって、指導者となる事を期待したい。

 さて、ここで我々には更に正直に告白しなければならない事がある。何か? 他でもない、我々が平民新聞によって生計を立てたいと思っている事である。我々は今や他に生計を立てるためにその精力を少したりとも費やせない境遇にある。もし我々が将来、幸いにも平民新聞の収益で生計を立てつつ全力でこの事業に打ち込めるなればこんなに幸せな事は他にない。我々は同志がこの事で我々を責める事がないのを信じている。そしてもし天が我が同志の主義に味方する事があれば、我々は平民新聞の収益で我々だけでなく他の同志を養う事ができるようになる事を信じ、これをもって序言に代える。

(明治36年11月15日 第一号)


以上、明治文献 『幸徳秋水全集』(幸徳秋水全集編集委員会)第5巻掲載原文を訳しました。



 紅星はこの『宣言』を訳している途中で、『あれっ、この宣言、何かに似ている感じがするなぁ?』と思った事でした。その『何か』というのは・・・・

 日本国憲法前文

です。

 文章こそ差異がありますが、その精神は、まさに『前文』が謳いあげているもの、そのものではないでしょうか?

 そう考え、原文の「吾人(我々)は」をあえて「我らは」と訳して見ました。紅星は気に入っているんですが・・・どうでしょう?

 また、『発刊の序』では、日露戦争直前の『主戦論』が全国を覆い尽くそうとしている世相の中で、敢えて『非戦論』や『平民主義(=民主主義)』を唱え続けようとの決意が示されています。ここを訳しながら、100年後の平和国家日本に生きながらも徐々に怪しげな動きが起こっている事に対して、彼の人々のような信念を持ってこれに抗しているだろうか、と感じた事でした。

 やはり、秋水さんの文章は、100年の刻を超えても色褪せず輝き続けているし、その名文に接する事で平和運動へのパワーを日々分けてもらって、凹んでいても元気になります☆

 追:『平民新聞』創刊が11月15日と聞いて、紅星は思わず この人が思い浮かんだんですが・・・(もっとも、この人の誕生日も命日も太陰暦で11月15日なので実際には違うらしいのですが)何か因縁めいたものを感じるのは紅星だけでしょうか?

以上、今日も乱文乱筆にもかかわらずお読み下さり、ありがとうございました☆



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この記事に対するコメント


v-433 わおー随分読みやすくなったね。これで婆ちゃんも訪問できる。
今度動画の挿入方法を教えてください。
確定申告中で、忙しいでしょう。体を壊さないようにくれぐれもご注意を。

【2008/03/04 22:28】URL | あくしゅ #-[ 編集]

TBありがとうございます。


私は、「こんなに幸せな事は他にない。」で、春名さんを思い出しました。

【2008/03/05 00:29】URL | ひとみ #HsoC/3b6[ 編集]

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