個人と国家・組織

土佐高知さん
『国民で判断せずに、人間で判断する』
という題で記事を書いている。

 似たような内容の記事を書こうとしていた矢先で、正直『先を越されてしまった!』という感が強いのだが、もう二匹目の泥鰌と開き直って筆を進めようと思う。


 まず土佐高知さんの記事を紹介すると、ある会合に参加した時、中国人の性格・人格について盛り上がっていたそうである。

 曰く、「あやまりがあっても自分から絶対に謝らない」「高慢ちきだ」「非を認めない」etc.。

土佐高知さんはそのやり取りについて、

経験だけで「中国人はこうだ」という特徴づけをするのはどうなんだろう?
それぞれの国や民族にはさまざまな人たちがいる。
国民性や民族性という共通項もあるだろう。
だが「謝らない」「高慢ちき」「非を認めない」などは、そういう範疇に入るのだろうか?
日本人だって、そういう特徴づけに合致する人は沢山いる。
「謝らない」というのは、契約主義、法律主義が中心のアメリカ人にも特徴的な性質である(ただこれも全部がそうだと決め付けるのは間違いだ)。


と述べている。

 まったく同感である。

 紅星も大学時代、同じ研究室に中国からの留学生が2人いた。
 一人は20代半ばから後半くらいの男性で、あまり付き合いはなかったが、教授と口論しても『謝らない』光景を何度か見た事があって、教授が腹を立てていた事を思い出す。ひょっとしたらくだんの『中国人像』そのものの人物だったのかも知れない(ただ、口論の内容を直に聞いた訳ではないので、教授の言い方に問題があった可能性もある)。

 もう一人は50代半ばくらいの女性で、中国本国では地方の研究所の幹部をしている人との事だったが、控えめで礼節をわきまえ、博識で色々と丁寧に教えて頂いた。この人は先の『中国人像』とはほど遠い人だった。

 また、研究室には他にも、昼休みに帰ったら3時ぐらいまで戻ってこなかったスペインからの人や、研究室前の畑に青唐辛子を植えて、激辛料理をよくご馳走してくれたバングラデシュからの学生夫婦、そして初対面でいきなり『あなたの日本語、変です』と言われた事に腹が立ち、その後仲直りしても少しのわだかまりが残ってしまった韓国からの人などがいて国際色豊かな環境にいたので、
「出身国という“森”で個人という“木”を評価しちゃいけないな」
と心底思った事だった。(韓国の人の言動も、当時の紅星は何せ自意識過剰な青二才だったのでカチンときてしまったが、今ならもっといい関係を築けたかも知れないなァ・・・と少しセンチメンタルに思い出す)

 大体、「中国人は謝らない・高慢ちき・非を認めない」と言う、当の我々『日本人』も人の事が言えるのか?

海外旅行で、写真撮影禁止のところでもパシャパシャやるわ、デモ隊でもあるまいに道幅いっぱいに広がって歩くわ、タバコやゴミはポイ捨てするわで、『困った日本人像』を振りまく人物も、悲しいかな少なくない。

 「謝らない」と言うならば、こんな本が書かれてしまう我々日本の若者も、「人の振り見て何とやら」と反面教師としなければならないのではないか?

 どうも今の日本の風潮として、農薬ギョーザ問題やチベット問題の中国政府の態度が悪いことにかこつけて、
「中国(人)なら叩いてもいいや」
と、必要以上に中国バッシングを容認する空気があるのではと感じている。

 紅星もこの間の中国政府の態度や、南京大虐殺資料館見学の日本人観光客に石を投げた輩や、ネット上で『日本鬼子』と日本人そのものを蔑視し『愛国無罪』と叫ぶ中国のネトウヨには心底腹が立つが、12億も人間がいれば、単純にいって悪人が日本の10倍ならば、立派な人・有徳の仁・善人もまた日本の10倍いると紅星は思うのである。これはアメリカなど他の国についても言えると思っている。

 必要以上に他の国に対する反感が高まると、それがその国民・民族への蔑視となり、さらには戦争状態に突入するのは、日清日露から第二次世界大戦敗戦までの日本しかり、ユーゴ解体後のセルビアしかり、世界史における痛恨の教訓として枚挙に暇がない。

 そして紅星が今回の題に敢えて『組織』としたのは、国だけに留まらず、政党や組織に対しても言えるのではないかと思うからだ。

 ひとつの例として、ここでは自衛隊について書こう。

 しんぶん赤旗でもよく、『自衛隊員が窃盗』や、『自衛隊員がわいせつ』など、個人の罪状に『自衛隊』や『警察』など組織を絡めて扱う記事が載ったりする。
 その行為自体は許せないものなのだから分からないでもないが、何か『自衛隊員はみな悪人』のように書き手(記者)が誘導しようとしている感じがしてあまりあずましくない(気分が良くない)。

 というのも、紅星と親はJCP党員だが、母方の親戚やいとこには自衛隊関係者が多いからである。彼らは決して人殺しがしたくて自衛隊に入った訳ではなく、就職時期に不況で自衛隊しか就職口が無かったり、自衛隊から奨学金をもらって看護士になれたので自衛隊に入ったという人たちだ。

 弟の結婚式などで話をする機会があったが、彼らにとって自衛隊は『職場』であり、災害救助で活躍する自衛隊について誇りをもっている(そのような話を、コミュニスタである紅星は複雑な思いを持ちながら聞き、当たり障りの無い会話をする訳だが)。

 そのようないとこ達を持つ紅星としては、とても他の党員(ごく一部かも知れないが・・・)のように自衛隊員個人に対して罵る気にはなれないし、自衛隊についても、災害救助などの非軍事面での、自衛隊員個々人の功績は認めてあげても良いと思うのだ。
 いとこ達が自衛隊を離れてくれれば一番嬉しいが、せめて彼らがこれからも異国の戦場で散ることがないよう、自衛隊を海外に出さない活動を強くせねばと感じるのである。

 自衛隊員にしても、警察官にしても、「人様の役に立ちたい」という純粋な動機で入った人が、少なからずいる。自衛隊は軍隊、公安警察は民主団体監視の組織ではあるが、個人の自衛隊員や警察官を敵視するのではなく、自衛隊を非軍事の『国際海外救助隊』に、警察を民主的な『国民の守護者』に変革していく事をJCPはもっと強いビジョンをもって打ち出すべきだと思うのだ。

 何か話が横道に逸れてきたので強引に元に戻すが、右派・左派・中道およびノンポリ問わず、日本人は他の国民よりも、『県民』、『国民』、『組織』や、『血液型』など、とにかく個人を個人として見ずに何かの『カテゴリー』に分類してから評価する癖があるような気がする(と、こう論ずる事自体がその行為になるのだろうが)。

 明日宿毛に現われるO'kaneの乗務員にも、貧しさから米軍に入隊せざるを得なかった、心優しき青年は少なからずいるだろう。

 明日の抗議行動では、O'kane寄港と宿毛の米軍基地化に対しては毅然とした抗議を行うつもりだが、『Go home Yankee!!』のような、個人に対する罵声の様なシュプレッヒコールが起こった場合は、以上のような理由から沈黙しようと思っている。

 国家や所属組織で個人を侮辱するのは、如何なる場合においても厳に忌むべきである。

 

 


 

 

 
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この記事に対するコメント

えらい!


こんにちは。さすが、不良党員です。自衛隊出身の作家浅田次郎が、イラクへの自衛隊派遣に、真っ向から異議を唱え、一歩たりとも自衛隊を国外へ出してはならぬ。なぜなら自衛隊は、その名の通り、自国の護りだからだ。と主張した。僕は、大いに我意を得たものです。旧稿ですが「愛国なら護憲でしょ」TBします。ついでに申せば、こうも言っている。共産党の言うことは、ほとんどすべて正しい。然るに、今もって共産主義を捨てきれないがため、すべてを無に帰してしまっている。噫。これまた、我意でもあります。日本共産党あらため日本共生党。これで、紅星クン、政権奪取だ!

【2008/05/21 14:51】URL | BLOG BLUES #-[ 編集]

うーん_alt_str_i_F9C6.gif_


紅星さんのおっしゃることはよーくわかるのですが、こと軍隊や自衛隊、警察に関しては、私は別の見解です。駐留米軍の犯罪の多さは単なる軍隊組織故の傾向ではなく、米軍の性格や目的に由来するものだと赤旗では指摘しています。また最近の自衛隊内でのパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、暴力行為の多発に関しても、専守防衛、災害復興支援の自衛隊から戦う自衛隊、精強な自衛隊への方針転換が起因していると分析しております。従って赤旗の記事が単純に自衛隊や警察を悪だとか、感情的にアメリカの軍人は悪人だとかと誘導しているわけではないので誤解のないようにするべきではないでしょうか!
個人個人を見れば気のいい兄ちゃんであり、親父でありますが迷彩服や濃紺の制服を身にまとえばその組織の目的や性格が降臨することを否定できないと思いますよ。

【2008/05/21 17:08】URL | ダルマパパ #-[ 編集]

人を見よう


はじめまして。
私も同じような経験をしたことがあります。
相手は、日本人の学者さんでしたが。
なかなか誤りを認めてくれないし、謝ってもくれない。
おまけに非を正したり違う意見を言うといじめまでするような人でした。
長渕剛の歌の♪ピーピー、ピーピーをとばして思い切り、ろくなもんじゃねぇと歌いたくなるようなそんな人でした。
今なら、いい思い出と笑って許せるのですが(たぶん、精神的に成長したのかものわかりがよくなったのかわからないけれど)。

現在、大地震で大変な思いをしている中国の被災者に、ざまあみろとかもっと死ねとか書く輩は外道以外なにものでもないと思っています。
あと中国人(韓国人)は謝らないとか高慢ちきとか言う人もいますが、それはその人の性格が大きく預かっているでしょう。
日本人が百人百通りの性格を持つように中国人も韓国人も同じではないでしょうか?
性格悪ぅの人もいればお人好しで困るという人もいるはず。
なんだか型にはめられるとそれしか見えないのと同じですね。
血液型や占いと同じで、なんだかひとつのパターンが決まってしまうとそのパターンになってしまいます。
B型の性格はこうとかO型はこんな性格だとかみたいに。
自分自身、B型というだけで、性格が悪いみたいな誤解を受けたこともあるので、かなーり天の邪鬼になりました。
人柄や人間性を判断の基準に持ってきてほしいものです。

さて私の親戚のことを書きます。
私の親戚の何人かは自衛隊に勤務しています。
何かあれば、災害救助や遺体収容もあります。
彼らは黙々と地味にまるで黒子のように任務をこなすような感じに見えるので、あまり悪く言ってほしくないという気持ちは同感ですね。
もっと人柄を見よう、性格を見よう、それで判断しようと思います。

【2008/05/21 22:02】URL | アビ #2XlF9lLU[ 編集]

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